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裁判のお役立ち情報

債権回収の現実(未払い代金、貸付金等)

「代金を支払え」「貸した金返せ」といった問題については、証拠が書面できちんと残っていれば、裁判で勝訴することはそれほど難しくないかもしれません。問題は「勝訴した後」です。勝訴すれば自動的に裁判所が債権を回収してくれるわけではありません。自分で相手の財産を調べて、別途裁判所に差し押さえを申し立てる必要があります。

 

以下、いくつか方法をご紹介しますが、結論から申し上げると債権額が少額(数万円〜十数万円)の場合は費用倒れとなる危険性が高く、多くの方が泣き寝入りしているのが現状です。

 

1.預貯金の差し押さえ

比較的回収の可能性のある方法ですが、金融機関と支店を特定する必要があります(普通はわかりません。)。また、特定できたとしても、差し押さえた時点で残高が少ないと結局空振りに終わることになります。

 

2.給料の差し押さえ

相手が会社員等の場合、給料を差し押さえることができます。職場の特定は、銀行口座の特定に比べると容易かもしれません。職場に知られることで相手にプレッシャーを与える効果も期待できます。ただし、全額を差し押さえることはできず、月々回収できるのは4分の1の額だけです。

 

3.不動産の差し押さえ

相手の住居が持ち家の場合、差し押さえて競売にかけることができます。登記情報は法務局で誰でも調べることができるので対象の特定は容易かもしれませんが、以下のデメリットがあります。

  • 銀行が住宅ローン等の抵当権を付けている場合、そちらが優先されてしまう
  • 裁判所に納める予納金が高額(数十万円〜100万円)
  • 競売の手続きを経るため、最終的な配当が得られるまでに時間がかかる(長くて2〜3年かかることも)

無事に十分な配当が得られれば予納金も戻ってきますが、全額住宅ローンの返済に充てられてしまった場合等は、すでに使われてしまった金額は戻って来ません。

 

4.動産の差し押さえ

相手の住居がわかれば、その中にある財産を差し押さえることができますが、以下のデメリットがあります。

  • 中に入ってみないと何があるかわからず、実際はほとんど価値がないものが多い
  • 生活必需品は差し押さえできない(その範囲は意外と広く、テレビ・冷蔵庫・エアコン等も差し押さえ不可)
  • 現金は66万円を超える分の額しか差し押さえできない(通常はそんなに多額の現金を家の中に置きません)
  • 不動産ほど高額ではないが、予納金を納める必要がある(3〜5万円程度)

 

5.自動車の差し押さえ

自動車の所在も比較的突きとめ易いと思いますが、予納金を10万円程度納める必要がありますし、中古自動車の査定価格は著しく低い場合がほとんどです。

 

いずれの方法においても、他の債権者が名乗りを挙げた場合は債権額に応じて按分することになります(先に申し立てた者が優先されるというわけではありません。)。最終的な回収まで辿り着くのは困難なのが現実ですが、「内容証明郵便だけは送りたい(あわよくば支払ってもらいたいが、無視されれば諦める)」「腹の虫が収まらないので(費用を払ってでも)勝訴判決だけは取りたい」という方もいらっしゃいます。

建物明渡請求の実例

建物の賃貸借契約を結ぶ際、連帯保証人を立ててもらうことがあります。

 

もし賃借人が家賃を滞納した場合、賃貸人は連帯保証人に代わりに払うよう請求できます。賃借人に請求することなくいきなり連帯保証人にだけ請求することも可能です。

 

では、家賃滞納が度重なって出て行って欲しい場合、連帯保証人に明け渡しを請求することはできるでしょうか?

 

以前、賃貸人の方から建物明渡請求の依頼を受けたことがあります。賃借人は病気で入院しており、破産寸前でもう家賃を払えない状況でした。賃貸人としては、家賃はもう仕方ないので、1日も早く出て行ってもらって、他の人に貸して賃料収入を得たいと希望していました。賃借人は事業を営んでおり、建物の中にはオフィス家具や書類などが放置された状態でした。

 

賃借人は入院しているので、連帯保証人に建物の中のものを運び出したり処分したりしてもらえないかと思いましたが、調べてみると地裁レベルではありますが「連帯保証人に建物を明け渡す義務はない」という判例がありました。(大阪地裁昭和51年3月12日判決)

 

結局、この件は賃借人に弁護士が付いたので、その弁護士とやりとりして明け渡しの手続きを進めることになりました。

 

賃借人の弁護士によると、明け渡しには応じるが、破産寸前で財産がないので立ち退き費用を全額賃貸人のほうで負担して欲しいとのことでした。

 

賃貸人からすると「ふざけるな」という話ですが、裁判をしても余計に時間とお金がかかるだけですし、何より相手に財産がないなら無意味なので、それならば一刻も早く明け渡してもらって他に貸して賃料収入を得たほうが良いということで、その旨ご説明してご納得いただきました。

 

実際の明け渡しの手順ですが、まず鍵を紛失していたので業者に依頼して取り換えを行いました。そして中の物の所有権を全て放棄するという書面(残存動産所有権放棄書)を相手方弁護士を通じて入手しました。

 

ところが、中にある物全てが賃借人の所有物とは限りません。複合機等のリース物件や、無線ルーター等のレンタル品もあります。これらの所有権はリース元やレンタル元にありますので、賃貸人の所有権放棄書があっても勝手に処分するわけにはいきません。これらは実際に中に入ってそれらしき物を全て写真に撮り、相手方弁護士に伝えて解約・返品の手続きをしてもらいました。

 

また、書類も大量に残置されていましたが、事業保険等の書類については保険屋さんに来てもらって必要なものを持ち帰ってもらいました。

 

最後に、残った物全てを廃品回収業者に回収してもらってようやく明け渡し完了となりました。

 

複合機や印刷機などの大型のリース物件は引き上げるのも大変で、業者が事前に下見に来る等したため、明け渡しが完了するまでに意外と時間がかかりました。

敷金返還請求権の差押え

家賃を滞納している賃借人に出て行って欲しいという相談を、賃貸人の方から受けることがあります。司法書士は、訴状などの裁判書類の作成はもちろん、訴額が140万円以下の簡易裁判所の事件であれば訴訟代理人になることも可能です。

 

ある時、相談を受けていた賃貸人の方から「銀行から仮差押えの通知が来た!」と慌てた様子で連絡がありました。書類の内容を確認すると、「賃借人の賃貸人に対する敷金返還請求権を差し押さえる」といった内容のものでした。

 

賃借人はもう破産寸前で、家賃だけでなく銀行からの借金の返済も滞っていたのです。そこで銀行が財産の差押えに動き、その財産の中に「敷金返還請求権」も含まれていたというわけです。

 

ですが、賃借人が滞納している家賃の額は、賃貸人が預かっている敷金の額を既に超えていました。そこで、敷金全額を未払い家賃に充当したことにして、「敷金返還請求権はもう存在しない」旨を陳述書に記載して裁判所に返送しました。なお、賃貸人が敷金を未払い家賃に充当するにあたり、賃借人に通知したり許可を得る必要はありません。

 

ちなみに、敷金返還請求権は家屋明渡完了の時に発生するという最高裁判例があります。当然まだ明け渡しは完了していなかったため、敷金返還請求権も未発生の状況でした。厳密に言うと、「将来発生するはずの敷金返還請求権が、敷金が未払い家賃に充当されて消滅したために発生することがなくなった」ということです。

支払督促のデメリット

貸した金を返さない、あるいは売買代金を支払わないといった相手に対し、訴訟の他に支払督促という簡易な手段もあります。支払督促の申し立てにおいては証拠を提出する必要はありません。単に「金払え」という督促状を裁判所から出してもらうだけで、一定期間内に相手から異議が出なければ強制執行が可能になります。

 

100%相手が悪いため争いの余地がなく異議を出してくる可能性がないならば、簡易迅速に解決を図れるので良い手段です。問題は異議を出してきた時です。異議に理由も証拠も必要ありません。そもそも支払督促をするのに証拠が不要なのだからこれは仕方ありません。

 

異議が出された場合、訴訟に移行します。場所は相手方の住所地を管轄する裁判所(地方裁判所または簡易裁判所)になります。これが遠方である時に大変です。

 

訴訟の場合も、基本は相手方の住所地を管轄する裁判所に提起するのですが、例外的に義務履行地や不法行為地、不動産の所在地(不動産を巡る争いの場合)なども認められています。この中から自分に最も有利な場所(自分の家の近く)を選んで訴訟を提起するのが一般的です。ちなみに義務履行地とは「金を払うべき場所」のことであり、通常は債権者(=金払えと言う人)の住所地です。

 

支払督促から訴訟に移行する場合は選択の余地なく管轄裁判所が決まってしまうため、相手が遠方に住んでいて異議を出される可能性があるなら避けたほうがよいと思います。

司法書士には弁護士会照会にあたる制度がない

弁護士会照会とは弁護士法23条の2に定められた制度で、弁護士会を通して関係者に回答報告を求めることです。弁護士会照会に対しては「一般的に回答義務がある」と最高裁も言っています。個人情報保護がうるさい昨今において、非常に強力な情報収集手段なのです。

 

司法書士には、これにあたる制度がありません。この点は、証拠収集だけでなく、勝訴した後の執行(お金の回収)においても不利になります。

 

例えば、貸した金を返せと訴訟を起こして勝訴したとしても、実際にお金を回収するには、どの銀行のどの支店にある預金を差し押さえるのか指定する必要があります。普通は相手がどこに口座を開設しているかなんてわかりませんし、銀行に聞いても個人情報なので教えてくれません。ところが、弁護士会照会を使えば銀行に回答を求めることができるのです。少し前までは支店まで指定して照会する必要がありましたが、最近メガバンクやゆうちょは全店照会に応じてくれるようになったそうです。つまり、支店までわからなくても「おたくの銀行に口座はありますか?あるなら支店と残高を教えてください」と照会できるのです。

 

司法書士も一定の認定を受けた者(認定司法書士)は訴訟代理人になることができます(ただし、簡易裁判所における訴額140万円以下の事件に限る)が、受任する際は弁護士に依頼した場合に比べ上記のようなデメリットがあることを依頼者にきちんと説明するべきです。

 

まあ弁護士会照会もタダじゃないですけどね。。

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