
売買・贈与による不動産の名義変更(所有権移転登記)を行います。売買契約書・贈与契約書の作成や必要書類の取得代行も行います。
【目次】
項目 | 報酬額(税込) | 実費 |
---|---|---|
所有権移転登記(※1,2) |
固定資産税評価額が |
登録免許税 |
所有権移転登記 |
16,500円 | 登録免許税:固定資産税評価額の1.5%(贈与の場合は2%) |
売買契約書/贈与契約書 | 33,000円 | 印紙税(※4) |
住宅用家屋証明書 | 11,000円 | 役所手数料:1,300円 |
(根)抵当権設定登記(※5) |
債権額/極度額が |
登録免許税:債権額/極度額の0.4%(※6) |
登記事項証明書 | − | 480円/1通 |
その他 | − | 郵送費、交通費、登記情報調査費(※7)等 |
※1 不動産の数が5以上ならば+11,000円(以降、+5件ごとに+11,000円)
※2 管轄法務局(登記申請先)が2箇所以上の場合、+1箇所ごとに+16,500円
※3 住宅用家屋の減税が適用できる場合は0.3%(売買のみ)
※4 売買代金による(贈与の場合は200円)
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上、50万円以下 | 200円 |
50万円超、100万円以下 | 500円 |
100万円超、500万円以下 | 1,000円 |
500万円超、1千万円以下 | 5,000円 |
1千万円超、5千万円以下 | 10,000円 |
5千万円超、1億円以下 | 30,000円 |
1億円超、5億円以下 | 60,000円 |
5億円超、10億円以下 | 160,000円 |
10億円超、50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
※5 金融機関での金銭消費貸借契約に当職が立ち会う必要がある場合は日当11,000円
※6 住宅用家屋の減税が適用できる場合は0.1%
※7 登記情報:331円/1通、公図:361円/1通
上記の費用は買主(贈与の場合は受贈者)が負担することが原則です。(関西の商慣習では違うこともあるようです。)なお、売主(贈与の場合は贈与者)に住所変更や担保抹消がある場合、あるいは権利証を紛失していて本人確認情報の作成が必要な場合(後述)は、それらの費用は売主(贈与者)の負担となります。
<モデルケース>
所有権移転登記(本地と建物) |
60,500円 + 2,500万円(※) × 0.06% = 75,500円 |
所有権移転登記(私道) | 16,500円 |
住宅用家屋証明書 | 11,000円 |
抵当権設定登記 | 49,500円 + (3,000万円 - 1,000万円) × 0.03% = 55,500円 |
司法書士報酬合計 | 123,500円 + 消費税 = 158,500円 |
所有権移転登記(本地と建物)(登録免許税) |
<土地>2,500万円 × 1.5% = 375,000円 |
所有権移転登記(私道)(登録免許税) | 500万円 × 1/5(持分) × 1.5% = 15,000円 |
住宅用家屋証明書(手数料) | 1,300円 |
抵当権設定登記(登録免許税) | 3,000万円 × 0.1% = 30,000円 |
登記事項証明書(手数料) |
480円 × 3通(本地、私道、建物) × 2(※) = 2,880円 |
その他(郵送費、交通費) | 5,000円(仮定) |
実費合計 | 459,180円 |
617,680円
権利証または登記識別情報 |
印鑑証明書(3か月以内のもの) |
固定資産評価証明書 |
実印 |
身分証明書(免許証等、顔写真入りのもの) |
住所・氏名変更や担保抹消がある場合は、それらの登記のための書類も必要になります。(「住所変更・氏名変更」、「担保抹消」のページ参照)
住民票 |
認印 |
身分証明書(免許証等、顔写真入りのもの) |
抵当権設定がある場合は印鑑証明書(3か月以内のもの)と実印も必要です。
住宅用家屋証明書は「自分が住むための家です」ということを証明するものです。これがあれば所有権移転や抵当権設定の登録免許税が減税されます。ただし、売買の場合のみであり、贈与の場合には適用されません。
証明書の発行を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
1.家屋取得後1年以内であること |
2.床面積が50u以上の自己の住宅用家屋であること |
3.店舗、事務所との併用の住宅は、居住部分が9割を超えること |
4.マンションの一室の場合は、建築基準法上の耐火(または準耐火)建築物または低層集合住宅であること |
5.昭和57年1月1日以降に建築された家屋であること(昭和56年12月31日以前に建築された家屋については、耐震基準適合証明書等が必要となります) |
証明書取得のため役所に提出する書類は以下の通りです。(役所により若干異なることがありますので、詳細は取得家屋の所在地を管轄する役所に問い合わせる必要があります。)
1.家屋の登記事項証明書 |
2.買主の住民票 |
3.売買契約書 |
住民票の住所が新住所(取得する家屋の住所)になっていない場合は、「申立書」と「現住家屋の処分方法を確認できる書類」も必要です。申立書は「まだ住所を移していないけど確実に住みます」ということを申し立てるものです。「現住家屋の処分方法を確認できる書類」は、現在の家が持ち家ならばそれを売却する予定であることを証明する売買契約書や媒介契約書、現在の家が賃貸ならば賃貸借契約書がそれに該当します。
そもそも住宅用家屋証明書は登録免許税の減税を受けるためのものなので登記申請前に取得する必要があり、その時点でまだ購入してもいない家に入居しているわけがないのですが、役所はこの現実にそぐわないルールに則り対応しています。(申立書に「入居が登記の後になる理由」を書かせるトンチンカンな項目があります。)実際には決済前に住民票上の住所だけ移すこともよく行われています。厳密にはまだ転居していないのに住民票を移すのは違法で、そうやって受けた減税は不正であり後で差分を課税されるリスクも理論上は存在するので、それは行わないという仲介業者もいるようです。個人的には、追徴課税のリスクを認識した上で近日中に確実に入居するのならやってしまってもいいと思います。なお、新住所で登記すれば後日住所変更の登記を別途行う手間と費用が省けるので、この点でもメリットがあります。
余談ですが、前述の申立書には「入居予定日」を記載する欄もあり、申立日から2週間以内でなければ認めないという運用がされていますが、これも実情に合いません。中古住宅の売買ではリフォームを行うことが多く、入居がだいぶ後になることも往々にしてあるからです。役所の窓口は不動産売買の実情を理解していない人も多くマニュアル通りの対応をしてくるため、いちいちまともに相手にするのも馬鹿馬鹿しいので私は適当に1週間後くらいの日付を記入して提出しています。(恐らく多くの司法書士がそのようにしていると思います。)ご自身で住宅用家屋証明書を取得される際はご注意ください。
権利証を紛失している場合、所有者であることが証明できないので、所有権移転登記を申請することができません。この場合に司法書士が「間違いなく所有者本人であることを確認しました」という書類を作ることにより、権利証に代えることができます。この書類を「本人確認情報」といいます。
よく本人確認情報の作成報酬が高いという声を聞きます。当事務所でも売主(贈与の場合は贈与者)お一人あたり10万円頂戴しています。これより低い額ではお受けしません。
詐欺師がなりすましで不動産を売却する場合、権利証を偽造することはほとんどなく、免許書やパスポートを偽造して司法書士をだまして本人確認情報を作成させることが多いようです。なりすましを見抜けなかった司法書士は損害賠償の責任を問われる可能性があります。実際に責任が認められた裁判例も多数あります。仮に1,000万円の取引で1割の責任が認められた場合、賠償額は100万円です。(実際の詐欺はもっと大きな金額の取引で行われます。)10万円の報酬ではとても賄えません。10万円もらってもやりたくないというのが正直な所なのです。
権利証がない場合の手続きの選択肢として、本人確認情報の他に「事前通知」と「公証人による本人確認」の2つがあります。
権利証を紛失した旨を伝えて登記を申請すると、後日法務局から売主の住所宛に「あなたの不動産を売却する登記申請が出ていますが間違いないですか?」と確認するハガキが送られてきます。これに対し、売主が「間違いありません」と実印を押して返送することで登記手続きが進められます。
なお、通知発送から2週間以内に返送しないと登記申請は却下されます。買主としては、登記されるかどうかは売主のアクション次第という不安定な状態に置かれることになるので、この制度が利用できるのは売主と買主が親族同士である等、信頼関係がある場合に限られます。また、買主が銀行から融資を受ける場合で抵当権設定登記を併せて申請する場合、銀行が許可しません。銀行は「確実に抵当権設定登記がされること」を条件に融資するからです。
司法書士ではなく、公証人に本人確認をしてもらう方法です。公証役場まで出向く必要はありますが、司法書士よりも安い手数料で対応してもらうことができます。
司法書士は登記の責任だけでなく、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(通称ゲートキーパー法)等により本人確認の責任も負っています。権利証がある場合でも免許書等を確認させていただく義務があります。権利証がなく本人確認情報を作成する場合は、免許書等の確認に加えて不動産を取得した経緯等を細かくお聞きする必要があるため、疑われているようで不快に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは専門家に課せられた義務であり使命なので、どうかご理解いただきますようよろしくお願いいたします。
現在は権利証ではなく「登記識別情報」という英数字12桁のパスワードが発行されます。今後の不動産取引で権利証が新たに発行されることはもうありません。ただし、過去に発行された権利証は依然として有効です。
権利証から登記識別情報に切り替わった時期は法務局により異なるのですが、平成17年3月7日〜平成20年7月14日までの間に切り替えが実施されています。
不動産を購入したり相続したりすると登記識別情報通知という紙が発行されます。下部をミシン目(シールの場合もあります)に沿って剥がすとパスワードが出てきますが、剥がさない状態で保管してください。
この紙自体に価値はなく、パスワードを盗み見されるとそれを適当なメモ用紙等に書き写したものを提出しても登記申請ができてしまいます。なりすましにより勝手に不動産を売却されてしまうリスクがありますので、厳重に保管してください。将来、売却したり抵当権の付け替え(住宅ローンの借り換え)をする場合に必要になりますが、その際も剥がさない状態のまま担当司法書士にお渡しください。
登記識別情報通知を紛失したり、盗み見されてしまった場合は、法務局に対してパスワードを無効にするよう申し出ることができます。ただし、いかなる理由においても再発行されることはないので、将来売却等により登記手続きが必要となった場合は前述(「権利証を紛失している場合はどうすればいいの?」参照)の本人確認情報等で対応することになります。
通常、個人の住宅ローンについて設定されるのは抵当権です。根抵当権について気にする必要はありません。
根抵当権とは、一定の金額の範囲内(「極度額」といいます)で、特定の相手への債務を担保するものです。会社が事業を行う中で、銀行から何度も融資を受けることがあります。融資を受ける度に抵当権を設定し、返済する度に抹消していたのでは手続きが煩雑ですし、その都度登記費用もかかります。そこで、何回借入と返済を繰り返しても極度額(例えば5,000万円)までなら担保しますよ、というのが根抵当権です。
なお、登記完了後に登記識別情報通知とともに送られてくる登記事項証明書をよく見ると、住宅ローンの抵当権は借入をした銀行ではなく保証会社のものが付いていると思います。住宅ローンを組む際、銀行からの借入契約とともに、保証会社と保証契約も結びます。保証会社は住宅ローンの返済が滞った時に銀行への返済を肩代わりします。保証会社が個人(借入をした人)に「私が肩代わりした分を払ってください」という権利を求償権といいますが、この求償権を担保するために設定されているので、抵当権者は保証会社となっているのです。銀行からの借入を直接担保しているわけではないのですね。
私が会社を辞めて司法書士になると伝えた時、上司に「俺がマンション買った時に突然現れてえらい額の現金ふんだくって行った奴か!」と言われました。
…まず、上記の「費用計算の具体例」をご覧いただきたいのですが、実費、特に登録免許税が金額の大半を占めています。登録免許税は国に納める税金で、司法書士の懐に入る報酬ではありません。司法書士は決済が終わるとその日のうちに法務局へ登記申請に向かいます。法務局で登録免許税を納めるため、決済の場で現金で出してもらうのが通例となっています。(今は法務局へ行かなくてもインターネットで登記申請ができますし、登録免許税も電子納付できるので、必ずしも現金でもらう必要性はなくなっているのですが。)
では、司法書士が決済の場で担っている役割をご説明します。
ある不動産の売買において、Aさんが売主、Bさんが買主だとします。Aさんは不動産を買った時にX銀行から融資を受けており、まだ完済していないので不動産にはX銀行の抵当権が付いたままです。Aさんは今回の売買代金の一部をX銀行への返済に充てるつもりでいます。一方、Bさんはこの不動産を買うためにY銀行から融資を受けます。
本来、Y銀行としては確実に不動産を担保に取るために、以下の3つの登記がなされた上で融資を実行(Bさんに貸付金を振り込むこと)したいのです。
@先順位のX銀行の抵当権の抹消登記
AAからBへの不動産の所有権移転登記
BY銀行の抵当権設定登記
しかし、そもそもY銀行からの融資が実行されないとBさんは売買代金を払えません。Aさんも売買代金をもらえなければX銀行に完済できません。通常の売買契約では代金の支払いが所有権移転の条件になっていますし、X銀行は完済を確認しない限り絶対に抵当権の抹消には協力しません。鶏(融資)が先か卵(登記)が先かといった問題が生じます。
そこで登場するのが司法書士です。司法書士は決済の場で書類を確認し、上記@〜Bの登記が確実にできることを保証します。Y銀行はこれをもって融資を実行するのです。
もし何らかの事情で登記ができなかった場合は大問題です。あくまで可能性の話ですが、所有者名義がAさんのままになっているのをいいことに、Aさんが別の人に売ってしまう(二重売買)かもしれません。また、X銀行が抵当権を実行し、不動産を競売にかけてしまうかもしれません。そうなると司法書士はBさんやY銀行から損害賠償を請求されてしまいます。不動産売買に絡む損害ですから数千万〜数億円になることも考えられます。
決済当日に突然現れる司法書士は、実は重い責任を負っているのです。私は、司法書士報酬は書類作成の対価ではなく、この責任を果たすことへの対価だと考えています。
不動産の登記をするかどうかは任意です。ですが、売買が発生するとほぼ必ず所有権移転の登記をします。そもそも「登記」とは何なのでしょうか?
「登記がある」ということは、「所有者である」ということを証明する程の強い効力はありません。真の所有者を名乗る者がその証拠を積み上げて訴えてきた時には、負ける可能性もあります。ただし、証拠を積み上げて自己の所有権を証明する必要があるのは「登記のない者」のほうであり、証明できなかった時は「登記のある者」は何もしなくても勝てます。裁判において「立証責任がどちらにあるか」は非常に大きな問題です。当然ながら立証責任のないほうが圧倒的に有利なので、これだけでも登記を備えておく理由としては十分です。
意味が分からないと思うので、先の決済の例でご説明します。AさんがBさんに不動産を売って、その後Cさんにも同じ不動産を売った場合、どうなるでしょうか。先に買ったのはBさんなのだから、Bさんの所有権が認められそうですよね。でも、勝つのは「登記を先に入れたほう」です。売買の先後は関係ありません。仮にCさんが先に登記を備えると、BさんはCさんに所有権を主張できません。
AB間の売買において、AさんとBさんは当事者同士です。(第三者ではありません。)BさんはAさんに売買の有効性を主張し、損害賠償を請求することができます。しかし、BさんにとってCさんは第三者です。(CさんにとってもBさんは第三者です。)第三者同士では登記で決着をつけます。この場合、先に登記を備えたCさんは、Bさんに所有権を主張できるのです。これが「第三者対抗要件」の意味です。
先にAB間で売買されたことをCさんが知っていた場合、CさんはBさんに所有権を主張できないように思えますよね。でもこれも関係ありません。例え知っていたとしても登記を先に備えたほうの勝ちです。市場における取引は自由競争が原則です。うかうかしていて先を越されたBさんが悪いということになるのです。ただし、CさんがBさんに不当に高値で売りつける目的等があった場合は話は別です。悪だくみをしたCさんの権利を保護する理由はないので、Bさんは登記がなくてもCさんに所有権を主張できます。